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地球上の中華料理店をめぐる冒険 
5大陸15ヵ国「中国人ディアスポラ」たちの物語

チョック・クワン(関卓中)著

講談社間

 

北極圏にある人口8万人にも満たないノルウェーの小さな町、アフリカ大陸の東に浮かぶ島国・マダガスカル、インド洋の小国・モーリシャス……。世界の果てまで行っても、華人経営の中華料理店はある。彼らはいつ、どのようにして、この土地にたどりつき、なぜ、どのような思いで中華料理店を開いたのか。そんな疑問を抱いて、世界に離散する華人の象徴とも言うべき中華料理店を訪ね歩き、一国一城の主や料理人、家族、地元の華人コミュニティの姿を丹念にあぶり出したのが、チョック・クワン(関卓中)著『地球上の中華料理店をめぐる冒険(原題:Have You Eaten Yet?)』だ。

食が表のテーマだとすれば、裏のテーマはアイデンティティである。食を足がかりに、その土地に華人が渡ってきた歴史的背景や彼らが置かれた状況、アイデンティティに対する彼らの意識を著者らしい旺盛な好奇心と鋭い視点で浮き彫りにしていく。

「あなたは自分が何人と思っているのか」「故郷はどの国か」「子供には同じ華人と結婚してほしいか」

 

著者は、このシンプルな、それでいて深淵な問いを投げかけ、華人の揺れる心の奥底をえぐり出していく。

 

本書のもととなったドキュメンタリーは2006年に公開されて反響を呼んだ。それから10有余年の時を隔てて、クワン氏は映像では伝えられなかったことも含め、このドキュメンタリーをベースに、書籍の形で改めて世に問うことになった。それが本書だ(ドキュメンタリーは今もYouTubeで公開されている。「Cheuk Kwan's Chinese Restaurants」を検索していただきたい。本書と合わせて見ればさらに楽しめる)。

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