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ザ・パワー・オブ・キャッシュ
デジタル経済にこそ跳ね上がる現金の価値
J・L・ザコウスキー著 プレジデント社 (2025年12月23日発売)
キャッシュレス全盛の今、なぜキャッシュなのか。
クレジットカードやQR決済などのキャッシュレス決済方式は、便利このうえない。だが、その背後では、さまざまな企業が関与し、手数料としてその分け前を取り合っている。当然、小売店は、売り上げから差し引かれる手数料を取り返すために、全般的に高めの価格設定をしても不思議ではない。キャッシュレスの便利さと引き換えに、さまざまなコストの一端を消費者が肩代わりしている構図が見えてくる。
また、キャッシュレスの便利さを支えているのは、通信ネットワーク、コンピューター、電力網の3つ。このどれか1つが欠けても、決済は行き詰まる。通信障害などで改札を通れなかったり、買い物ができなかったりした経験はないだろうか。高速道路のETCに障害が起こり、膨大な渋滞が発生したことも記憶に新しい。この3つの柱が欠けた状態では、銀行口座にどれほどの資産があっても、ATMは動かず、QR決済やクレジット決済はできず、つまりは、食料も買えず、移動もできなくなる。
昨今、国家安全保障の強化が叫ばれているが、著者はキャッシュレスだけになると、安全保障はたちまち脆弱になるという。敵が通信ネットワーク、コンピューター、電力網のどれかを攻撃して、麻痺させれば、キャッシュレスに依存していた人々は食料調達もできなくなり、国民の戦意がくじかれる。それはまさにロシアがウクライナの電力系統を執拗に攻撃する1つの理由にもなっている。
だからこそ、「少しでもいいから現金を手元におき、日常から現金を使う習慣を保とう」と、著者は呼びかける。通信障害でも停電でもコンピューターハッキングでも止まってしまうキャッシュレス。、費者も小売店も日常からある程度の現金を扱っていなければ、いざというときでも、お釣りがないなど、せっかくのキャッシュが無用の長物になってしまう。著者は軍事演習になぞらえ、日常からキャッシュ運用を少しでも残しておけと説く。
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